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これだけは押さえておきたい制度改正 1

2016年01月18日(月)14:15



〜よりよい経営・管理のための「制度改正」講座〜



その1「地域包括ケアシステムの目指すもの」

 

 平成27年4月に改正・施行される介護保険法ではどんな点が変わるのでしょうか。

 第100回社会保障審議会介護給付費分科会(平成26年4月28日開催)での、亀井委員の発言にヒントがあります。一部を引用します。



 「世界に類を見ないすばらしい制度であるわけでございますが、いよいよこの制度も第2ステージに入ってきたなと、(中略)介護保険会計が2025年以降どうなっていくのか(中略)、これを今の制度のままで継続していくのは非常に困難なことでもある。」

 まず「第2ステージ」という言葉に注目します。オペラでは、ステージ(場面)が変わると舞台背景が変わります。出演者にも異なる演技が求められます。

 今回の改正も、このような舞台転換なのです。背景が変わり、出演者には違う行動が求められる。それほど大きな変化だと、介護給付費分科会の委員が強く認識していると分かります。根底を揺さぶる変革なのです。

 次に「現状のまま継続していくのは困難」という言葉。これは制度のみならず事業所経営にも当てはまります。現状のままでは継続できない、変わらなければ生き残れないのです。

 人員や設備、運営基準が変われば、報酬も変わります。報酬が減っても、事業の経営安定は可能なのか。それを考えた上で、今後の事業展開を再構築する必要が出てきます。



 今回は、改正の主要テーマの1つ「地域包括ケアシステムの構築」についてお伝えします。



地域包括ケアシステム」のキーワードは、「連携」と「住民主体」と言えます。介護サービス事業所は今後、医療・介護事業所をはじめ、様々な事業体との連携を求められます。「地域包括ケアシステムの構築」の「重点化・効率化」という項目には、以下のように明記されています。



「既存の介護事業所による既存サービスに加え、NPO、 民間企業、住民ボランティア、協同組合等による多様なサービスの提供が可能。これにより、効果的・効率的な事業も実施可能。」



 つまり、フットワークが軽く有償・無償で様々なサービスを提供する事業体が次々と参入してくるのです。

 その第一歩が、「全国一律の予防給付(訪問介護・通所介護)を市町村が取り組む地域支援事業に移行し、多様化」されることです。

 一部報道では「要支援者切り」と批判されましたが、実際は平成29年度までの移行期間が設けられています。しかし平成28年4月には、「地域密着型通所介護」が開始します。例外はあるにしろ、全国一律の予防給付も、このタイミングで全国一斉に始まり、要支援者の訪問介護・通所介護は地域支援事業へ移行されると考えられます。



 要支援者が現在の介護事業所の顧客でなくなる日が、すぐそこまで迫っています。 慣れている事業所がいいと考え、新しい事業所を探さない人もいるかもしれません。しかし、新たに参入してくる事業者に変える人もいるでしょう。要介護状態になったとき、現在ある事業所を利用せず、新事業者を選ぶ人もいるでしょう。



 住民主体のサービスが浸透したら、軽度利用者は既存の介護事業所の顧客ではなくなります。これまで以上に地域との連携を進め、地域住民が担う「生活支援サービス」を主流にする。これが、「地域包括ケアシステム」が既存の事業所に求める姿です。環境が変わる中で、自らも大きく変わることが求められましょう。

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